将棋の天童でブラインド囲碁将棋体験会(結果報告)

2021/07/14

前回のニュースの続きになります。
長文注意です。

7月11日(日)山形県天童市において、モンテディオ山形と松本山雅FCのサッカーゲームが開かれました。
この試合前に、SDGSブースの中で、私達はブラインド囲碁将棋体験会を行って参りました。

天候は生憎の雨でしたが、モンテディオ山形のご配慮で屋根のある場所をご用意していただき、来場された沢山の方々に出会うことができまして本当に感謝しています。

さすが将棋の天童と呼ばれるだけあり、ブラインド将棋の体験希望者は跡を絶ちませんでした。
私達囲碁側も負けずに簡単にできる石取りゲームを来場者に体験してもらい、視覚障害者の囲碁活動を知っていただくとと共に楽しんでいただきました。

囲碁は敷居が高いイメージを持たれることがあるので、最初は相手の石を囲って取るゲームから私は始めます。
教え過ぎず、ゲーム感覚で楽しむと、自然に敷居が低くなると思います。
これも教える人によって色々導入のやり方が違うので、正解はありません。

幸いなことに、今回体験された方々からは、「囲碁めっちゃ面白かった」、「目が見える人とか見えない人とか関係無く楽しめた」などの前向きな感想をいただくことができました。
体験者は小学生から大人、高齢の視覚障害者まで幅広くいらっしゃいました。

私も何人もの方に囲碁を体験していただきましたが、その中で山形市にお住まいの視覚障害者の方とお会いしました。
中途失明の方で、それまで囲碁は打てていたものの、見え辛くなってからは数十年全く打つことは無かったそうです。
このイベントは、山形県視覚障害者福祉協会のお知らせで知り、どうやって見えない状態で囲碁を打つのか興味を持って来たとおっしゃっていました。
対局前にアイゴを触っていただき、石の嵌め方や黒白の違いも確認してもらった上でいざ対局開始。
碁を打てる人なので、私も石取りゲームでは無く、普通に13路板で対局をお願いしました。
打って見て驚いたのは、数十年囲碁を打っていないとは思えないほどよく盤面が把握できており、私の方が危うい場面もあったくらいです。
終局後、その方と私はとても打ち解けることができ、声の柔らかさから表情もにこやかになったのを感じました。
これから山形での視覚障害者に囲碁を知ってもらいたいことや、アイゴの購入方法、山形県のお土産やこれは食べた方が良いと言うお勧めなど、話が尽きませんでした。

私は目が見えなくなってから囲碁を始めた人間ですが、この方のように、以前は囲碁を打っていたのに、視覚障害になったことなどの理由で打つことをあきらめた方が沢山いることを知っています。
そのような方が再びアイゴに出会い、囲碁を打てるようになった時の喜びは計り知れないものがあるのでしょう。
日本全国にそのような方がいるのなら、この囲碁普及活動はやはり意義があるのだと確信しています。

その後、奇跡的に雨がピタリと止み、サッカー観戦はとても楽しくできました。
スタジアムグルメと言う沢山の屋台が出ており、美味しいフードを堪能しながらサッカー観戦ができることも良いですね。
野外の開放感ある中で食べたカリーパン、玉こんにゃく、焼売、どんと焼き、ロングポテトなど…、どれも美味しかったです。
それもそのはず、地元のお店や名産品店などが出店していて、地元食材をふんだんに使っていると聞きました。
山形地域全体でチームを応援していることが伺い知れます。

そして、この試合観戦では、私にとって大きな発見がありました。
それは、実際のスタジアムでの観戦だとテレビでは分からない音情報に満ちあふれていると言うことです。
今はコロナ禍なので、基本的には声を出すことを観客は控えています。
ですが人間ですし、場面場面でどうしても声を出してしまうところがあり、その音は私にとってよくサッカーの内容を物語ってくれました。
「惜しい」、「ナイスプレイ」、「入れ!」、「危ない!」など、声援にはストレートな感情が乗っているので、思った以上に伝わって来ます。
また、途中何度か応援の音が止む時があり、その時は選手同士が指示する声やボールの音が聴こえ、フィールド上の状態も把握できる瞬間があったことも興味深かったです。
楽しみ方は人それぞれですが、スポーツ観戦好きな視覚障害者がどうやって試合を楽しんでいるか私にも少しだけ分かりました。

モンテディオ山形は5連勝し、私達も手が痛くなるほどハリセンを叩いて喜びを共有できたことも嬉しかったです。

サッカーと囲碁将棋、一見して住む世界が違うと思われがちですが、今回のように同じ場所で同じ時間を体感することは、お互いの世界の違いを確認すると言うことだけでなく、2つの世界が混じり合うことで新しい力が生み出されることを感じました。
私自身、視覚障害者、囲碁と言う環境に囚われ過ぎず、様々な分野に視野を広げて行きたいと思います。

今回、このような貴重な場を提供してくださいましたモンテディオ山形の皆様、当協会を繋げていただいた関係者の皆様、ブラインド将棋の方でご尽力くださった日本視覚障害者団体連合、早朝町田から駆け付けて会場設営をしていただいた障害者スポーツ普及推進プロジェクトの方々、その他様々な形でご協力いただいた皆様に熱く御礼を申し上げます。

柿島代表と山形の方の囲碁対戦
山形の参加者と柿島代表の囲碁対戦の様子
ブラインド囲碁将棋イベントの様子
ブラインド囲碁将棋イベントを楽しまれている様子

モンテディオ山形https://www.montedioyamagata.jp/

日本視覚障害者団体連合http://nichimou.org/

障害者スポーツ普及推進プロジェクトhttps://sports-with-heart.jimdosite.com/

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