2023/10/11
皆様
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お待たせしました。
囲碁ライター品田さんの自戦記第3弾を掲載いたします。
第2弾はこちら
https://aigo.tokyo/news/1254
<前回までのあらすじ>
黒の品田記者が対局の中で白髪の某バスケコーチに励まされたり、絶望をしたり、時には絶望したり、それでも絶望したりしています。
段々と品田記者の筆が乗って来ている気がします。
この自戦記は、読み進めるうちに自然と品田記者を応援してしまう魔法があります。
さすがの文章力、ペンは碁より強しというところでしょうか。
それでは、続きをお楽しみください。
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<第2回誰でも囲碁大会最強戦決勝譜―ライター品田渓の振り返り・第3譜>
ごきげんよう。第2回誰でも囲碁大会最強戦決勝譜、ライター品田の振り返りも後半戦に入りました。引き続きお付き合いいただければ幸いです。
今までの戦いを簡単におさらいしますと、勉強不足の品田は岩崎さんの的確な打ち回しで厳しい戦いを強いられています。しかし、対局中はどんなに悪くてもあきらめない心が大切。前譜は「こことここがすごく上手くいけばいい勝負!」と捕らぬ狸の皮算用をたくさんして、ポジティブに頑張ろうと心に決めた場面で終了しました。
黒1手目から白44手目は第1譜で、黒45手目から黒107までは第2譜で振り返りをしています。第3譜は白108スタートです。
碁盤サイズ:19
黒:品田渓
白:岩崎晴都
白108手目: 16の三
*この手は隅を荒らそうという手ですが、上手くいかないと持ち込みになり損です。そして、実際のところ、あまり上手く生きれそうな感じはありません。岩崎さんにしては珍しく失着だったのではないかと思います。ひょっとしたら、岩崎さんは自分の方がいいはずなのに品田があまりにも自信たっぷりだったので、焦ってしまったのかもしれません。
黒109手目: 15の四
白110手目: 17の三
黒111手目: 18の四
*これで隅には味がありません。白は持ち込んで少し損をしました。とは言っても、形勢はまだまだ白の方がだいぶいいです。
白112手目: 6の十三
*左辺を囲いながら中央に黒地ができるのを防いでいます。
黒113手目: 4の十六
白114手目: 3の十七
黒115手目: 3の十三
*もし左辺が白地になってしまったら地合は絶望的なので、「ダメだろうがなんだろうがこう打つしかない!」と思っていました。
白116手目: 4の十四
黒117手目: 3の十
白118手目: 2の八
黒119手目: 4の十三
白120手目: 5の十三
黒121手目: 5の十一
白122手目: 10の六
黒123手目: 11の七
白124手目: 6の八
黒125手目: 8の八
*ここに打って、私は「ひょっとしたらかなり難しくなったのではないか」と思いました。というのも、上辺の黒地が思った以上に大きくなったからです。左上白地もかなり大きいですが、そこと比べても10目くらいは大きそう。白は右辺やら左下隅やら下辺やらに確定地がたくさんあるので、本当のところは白が相変わらず優勢なのですが、少し差が詰まったような気がしてワクワクしました。
白126手目: 7の十一
黒127手目: 2の十四
白128手目: 2の十五
黒129手目: 2の十二
白130手目: 1の十四
黒131手目: 7の十
*ここは黒1の十三とコウにはじくべきだったと反省しました。黒がコウに勝てる保証はありませんが、すべてのマギレはコウから始まるもの。追う立場のくせに怖気づいて先に脱出しようなんて、技術うんぬんの前に心構えがなってなかったです。
白132手目: 6の十
黒133手目: 6の十一
白134手目: 5の十
*ソイはとても冷静で的確だなと思いました。この手で黒が左辺すべてを助けることができなくなっています。
黒135手目: 7の十二
白136手目: 4の十一
黒137手目: 8の十一
白138手目: 4の十二
*黒137で中央をポン抜き、白138で左辺が白地になりました。ポン抜き30目と言われるくらいですから、平時ならばこういうフリカワリは悪くないはずなのです。しかし、本局では白の確定地がはっきりして、黒の頼みの中央の発展性もそこまでないので、より敗勢が色濃くなってしまいました。白134に打たれたらほぼこうなるしかないので、さかのぼって黒131ではコウにしなければならなかったなと改めて思いました。
黒139手目: 13の十
白140手目: 14の八
黒141手目: 13の七
白142手目: 15の七
黒143手目: 15の六
白144手目: 13の十二
黒145手目: 12の十二
白146手目: 12の十三
黒147手目: 11の十二
白148手目: 13の十一
黒149手目: 12の十
白150手目: 16の七
黒151手目: 16の六
白152手目: 8の十四
黒153手目: 5の十二
白154手目: 2の十三
黒155手目: 9の十四
白156手目: 8の十三
黒157手目: 9の十三
白158手目: 8の十五
黒159手目: 9の十五
白160手目: 18の十五
黒161手目: 18の十六
白162手目: 16の十九
黒163手目: 17の十九
白164手目: 15の十九
黒165手目: 18の十八
白166手目: 10の一
黒167手目: 12の二
白168手目: 7の九
黒169手目: 8の九
白170手目: 14の十
黒171手目: 12の十四
白172手目: 14の十三
黒173手目: 14の十四
*私は打っている最中に目算をしません(笑い)!昔、何度もチャンレンジしましたが、毎回目数がズレるので、もうあきらめてその場その場で一番頑張っていそうな手を打とうと思ったのです。目算しない良さは、客観的にどのくらい負けているかが分かっていないので、気持ち次第でいくらでもファイトが沸いてくるところです。悪いところは、そのまま終局してしまって大差だった時に恥ずかしいことです。
さすがに、10目以上の差だったら投げないといけないかなと思い、私はここで初めて少し数えてみました。どう黒を贔屓して数えても盤面で負けているようでした。「もはやこれまでか・・・」そう思った矢先、「もしかしたらまだ戦えるかも!」と元気が出るような事件が起こります。
次譜に最後の見せ場がありますので、ラスト1譜もお付き合いいただければと思います。それではごきげんよう。