2024/12/01
皆さま
いつも私たちの活動にご支援、ご協力を賜り、心より感謝申し上げます。
先日、高山での囲碁大会を終えた後、途中下車で名古屋に立ち寄り、囲碁体験会を開催しましたので、その様子をご報告いたします。
実は4年前に名古屋ライトハウス情報文化センターの森様からお声がけがあり開催を検討していたところ、コロナ流行の影響で延期となってしまい、今回ついに4年越しで実現することができました。「ずっと開催したかったんです」と森様よりご連絡いただいた時は本当に嬉しくて、思わず涙が出そうになりました。
体験会には、視覚障害者3名、ガイドヘルパー1名、センター職員3名がご参加されました。さらに、日本棋院中部総本部から重野由紀二段にもお越しいただきました。重野先生は、高山で行われた全日本視覚障害者囲碁大会で副審判長を務めてくださった方です。地元名古屋での囲碁普及活動ということで、今回も快くご協力いただきました。本当にありがたいことです。
いざ体験会が始まってみると、驚くことに視覚障害者参加者3名全員が囲碁経験者でした。
お一人は、5年前に病気で視力を失われる前に碁会所で五段の腕前を持つ方。
もうお一人は、盲学校時代に囲碁将棋部の副部長を務めていた方で、囲碁は30年ぶりとのこと。
さらにもうお一人は、普段スマートフォンのAIと対局している弱視の方で、今回初めて人と対局する機会を得たそうです。
「これなら重野先生お一人で十分では?」と内心思いましたが(笑)、せっかくなので私はセンター職員の方々に囲碁の入門指導をさせていただきました。
一方、重野先生は五段の方と19路盤で本格的に対局され、30年ぶりの囲碁を打つ方とAIと対局している方も、それぞれ19路盤で対局を楽しんでいただきました。
さらに驚いたのは、センター職員のお一人が高校・大学時代に囲碁をされていて初段の腕前だったことが発覚。思わず「もう私は東京に帰っていいのでは?」と思ったものの、森様や職員の方々が「ぜひ囲碁を教えてほしい」とおっしゃってくださり、最後までお役目を果たすことができました。今振り返ると、お二人の気遣いだったのかもしれません。
気がつけば、あっという間の2時間。19路盤で対局された皆さまも、とても満足された様子でした。
最後にいただいた感想を少しご紹介します。
五段の腕前をお持ちの方は「これからも続けたい」と意欲満々でした。
30年ぶりの方は「同じくらいのレベルの人がいればまた打ちたい」とおっしゃりつつ、少し負けたのが悔しそうでした(笑)。
AIと対局していた方は「対面で打つのはAIとは全然違って楽しかった」と喜んでくださいました。
私がなにより嬉しかったのは、体験会の最後に「これからどうやって継続的に囲碁サークルを運営していくか」と、自然と話題が出てきたことです。森様も「視覚障害者の文化交流の一環として、囲碁活動を広げたい」とおっしゃってくださいました。また、初段の腕前だった職員の方も「センター内で囲碁を教えたい」と意気込んでおられました。実は、参加者のガイドヘルパーの方もこっそり「囲碁であそぼ!」のアプリをダウンロードしていました。
これまで中部地域での視覚障害者の囲碁普及を積極的に行っていませんでしたが、今回の体験会で大きな手応えを感じました。近い将来、名古屋でも視覚障害者の囲碁サークルが立ち上がることを確信しています。当協会も、全力でサポートさせていただきます。
最後に、この体験会を4年間も温めてくださった名古屋ライトハウス情報文化センターの森様と職員の皆さま、そして快く指導碁を引き受けてくださった重野由紀先生に、心より感謝申し上げます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ようこそ、名古屋ライトハウス 情報文化センターへ
https://nagoya-lighthouse.jp/joubun/
重野 由紀 | 棋士 | 囲碁の日本棋院
https://www.nihonkiin.or.jp/player/htm/ki000281.htm