2021/10/21
皆様、いつも私達の活動へのご支援ご協力、誠にありがとうございます。
今回は、嬉しいご報告があります。
予てから改良を進めて参りましたアイゴツーですが、ついに完成の運びとなりました。
従来のアイゴツーとの変更点は、大きく分けて3つです。
1.碁線を黒く塗装しました
2.星部分を○型に変更しました
3.外周部に座標が分かるように彫刻で印を付けました
碁線を黒く塗装することで、弱視などの視覚障害者や、目が見えづらくなった高齢者の方々にも盤面が見やすいと思います。
実は、この塗装については、旧型アイゴから施したかった改良点だったんです。
これまで、一つの金型加工での製造では、材料を流し込んで加工するため、格子部分のみを黒くすることはできませんでした。
また、材質がプラスティック製のため、碁線を黒く塗装しても、手で触ったり、碁石をはめ込む際、削れて塗料が剥げてしまいます。
しかし、アイゴツーは、レーザーカッターでの裁断で格子部分と土台部分、別々に作るので、予め碁線を塗装することができ、MDF素材はプラスティック製より塗装が取れ難いので、上記二つの問題を解消できます。
星部分も、以前までは彫刻加工で凹ませていたデザインを○型に変更し、碁線が破損し難い作りになりました。
丁度、碁石の裏側に丸く空間を持たせているため、この空間を活かせたのは幸いでした。
外周部の印については、既にある旧型アイゴの特徴を踏襲するようにしました。
これにより、目が見えなくても触って座標を確認し易くなります。
細かな改良点としては、一般の碁番と同じように、若干長方形型にしています。
目が見えない場合はあまり関係がありませんが、目が見える人が対面で対局する際、盤面を斜めからの視点で見ます。
その時、盤面をより正方形に見えるよう、若干縦長の作りにしています。
今年4月、埼玉県の視覚支援学校生徒が、視覚障害者史上初めて日本棋院の院生として採用されました。
彼は、弱視のため、盤面に顔をかなり近づけなければいけません。
アイゴは碁石を固定するため、体がぶつかっても石がずれませんし、これで更に碁線が黒くなればはっきりと線を把握できるはずです。
彼の囲碁の才能がより良く伸びるように、新型アイゴツーには私の願いが沢山詰まっています。
写真の盤面は、そんな彼がプロ棋士の仲邑菫二段と対局した碁を新型アイゴツーで並べたものです(50手まで)
いつか彼か、もしくは別の視覚障害者がプロ棋士となり、この碁盤で誰も観たことのない素晴らしい碁を打つことを期待せずにはいられません。
そして、プロ棋士を志すような視覚障害者の子供が一人でも増えるよう、囲碁に出会えて良かったと思う人が一人でも現れるよう、私達は囲碁普及に邁進して参ります。